フルオーダーと既製品の良し悪し

フルオーダーは多くの日本人に合わない

ここで話題にするのは20万円ぐらいまでのフルオーダーのお話です。ウン百万円のフルオーダーは別格なので除外します。
体に合わせてお洋服を作る、というのはほとんどの日本人に合わないというお話をしたいと思います。

昭和のお洋服の歴史

そのために、少し退屈ですが、わたしの体験したお洋服の歴史を、なるだけ簡単にお話します。
ちょっと退屈なので、次の見出しまで読み飛ばしても大丈夫です。

わたしが小学生の頃は、既製品というのは、ほとんどありませんでした。
子どものお洋服は、母親が自分の服を解いて、子供用に作り直すことが多かったように思います。
田舎町のブティックでも、子供服も大人の服も、とても高かったように記憶しています。なので、お洋服は

  • 母親か親族が作る
  • 街の洋装店でオーダーする
  • バカ高い既製品を買う

という選択しかなかったように記憶しています。

あれ?既製品のほうがかっこいいけどどうして?

それから数年の間に、既製品がどんどん出てきましたが、それでも、ジャケットなどはフルオーダーのものを着ていました。学校の制服なんかも、あれも誰かが手作りで作っていたんです。ウールのセーラー服を作っていたんですよ。すごいですよね。

それで、何が言いたいかというと、フルオーダーのお洋服のほとんどはかっこ悪かったのです。
なぜでしょうか。

ほとんどの人が、スタイルが悪かったからです。

ところがです。のちに出てきた既製品の制服は、とてもかっこ良かったんです。
着る人の体形に依存せずに、このサイズはこの肩幅、この丈。襟はこの大きさ。と決まっていたほうがきれいだったんです。
このころから、
「既製品のほうがカッコイイ」と感じるようになり、既製品=スーパーの変な服、ではなく、カッコイイDCブランドというものが出てきました。
そして、DCブランドは、誰が着ても、それなりにかっこよかったんです。

デザイナーの腕が良かったというのもありますが、既製品の制服と、DCブランドの共通点は、人に服を合わせるのではなく、服が服としてまずかっこいいように作られていることでした。

フルオーダーの似合う人、既製品の似合う人

既製品の似合う人

それでは、フルオーダーの似合う人、既製品の似合う人はそれぞれどんな人でしょう。
答えは、日本人の場合は99%後者。既製品のほうが似合います。

誤差1センチほどなら、肩幅が多少狭かろうが広かろうが、シルエットのきれいなジャケットのほうが日本人に似合います。(肩幅が41センチでも43センチでも42センチの既製品のジャケットを着るという意味)ポッコリしたお腹にぴったりフィットさせたフルオーダーのタイトスカートより、スーパーの吊るしの3900円のストレッチの入ったタイトスカートのほうが似合います。
そう、このころから、ストレッチ素材が広がってきたんですね。

このころに、40代だった母が、100着ものストレッチタイトスカート(ひざ下)を買ったのをよく覚えています。
母は、ウェーブキュートなのに、ストレートフェミニンになろうなろうと、迷子になっていたんですね。

「ひざ下はやぼったい、膝上は年齢にふさわしくない」といって困っていました。セリフはわたしが翻訳したもので、実際には
「膝下も膝上も〇〇みたい」と言って嘆いていました。まあ、キュートですからね。

母はわたしや洋装店に洋服を作らせては、カンカンに怒っていました。
「わたしのお尻が大きいからといって、へんてこな服ばかり作る」と。本当はもっとひどい言葉で怒っていました。
でもね、フルオーダーって、体の出ているところは出すし、引っ込んでいるところは引っ込ませるしかないので、それが嫌なら、9号企画で作られた決まった形のお洋服を着たらいいんです。キュートであってもロマンスであっても。

その時にね、思ったんですよ。

無駄なあがきは止めようじゃないか。
似合わないものは似合わないのですよ。

言いにくいのだけれども、似合わないアイテムに対して、高級品を買ったり、まめにお直しをしたり、フルオーダーをしても、むしろ欠点を引き立たせてしまいます。
それでも若いうちは、どうにかなります。40代、50代になるとどんなに頑張っても難しくなります。

なので、自分がこの形のお洋服が合わない、と思ったら、合うものを探してさまようのではなく、今、簡単に手に入るもので無難に装うほうが、100倍お得なのです。

母は100着ものタイトスカートを買い、それらがその後どうなったかといえば、2,3回しか着用せず、定年退職後に、わたしが全部人にあげました。母はタイトスカートの似合うフェミニンになりたかったけれど、結局なれませんでした。母は小粋なミモレスカートを着たほうがかわいいです。

フルオーダーの似合う人

じゃあ、フルオーダーの似合う1%はどんな人かというと、AKBのような装飾性の強い服の場合は、いくらでも盛ったり引いたりできるので、あそこまでデザインに癖があれば、とことん体の欠点を隠すことができます。(彼女たちのスタイルが悪いという意味ではありません)

パヒュームもそうですね。ああいう服を作るなら、フルオーダーの価値ありです。(パヒュームのような服の話であって、彼女たちのスタイルは素晴らしいと思います)

あとは、かろうじて骨格ストレートで痩せていてスタイル抜群の人なら、フルオーダーが似合います。
骨格ナチュラルの人は、楽々ソーイングのようなお洋服が似合います。
骨格ウェーブの人は、ごめんなさい、オーダーはお勧めしません。どうしても作りたい場合は、しっかり目の素材でセミオーダーをするときれいです。

タイトスカートは一番ごまかせない

さて、それなら、タイトスカートのフルオーダーって、足し算も引き算もしにくいんじゃないの?と思われますか?
その通りです。一番ごまかせません。
ぱっつんぱっつんのタイトスカートで勝負できるのは、スタイル抜群の欧米人か、欧米人並みのスタイルを持つ人だけです。

カーブベルトでもダメ?

希望はあります。
なぜなら、わたしはカーブベルトにすることで、ギャザースカートが履けるからです。
でも、カーブベルトでタイトスカート、ということになると、高いです。高すぎると思います。道楽にしかならないので、一応このサイトではおすすめはできないという結論になります。

★今日のおすすめ
https://product.jadore-jun.jp/vis/detail?hinban=BVH59010&color=8

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